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Venus Project: Pro Gallery

Venus Project

 タケナカは2012年からの4年間を沖縄県の宮古島で暮らした。

 世界的に急速に失われつつある自然のままのサンゴ礁。サンゴ礁のもたらす豊かな生体が未だ残る宮古島。もともと海が好きなタケナカは毎日子供たちと海へ行き、熱帯魚や海亀たちと戯れ遊んでいたが、次第に島の生活排水によるヘドロと、水質汚染の問題に気づき始める。

 当時、タケナカの母が住む北海道の森の中の実家に、ある一人の科学者の卵が居候していた。現、名古屋大学環境化学博士の伊藤昌稚氏である。「住まいを森に置きたい」と、北海道大学の大学院に通い海の研究をする数年間を彼はその家で暮らした。

 話は戻って、宮古島。美しいビーチだけではなく島の地形は険しい岩礁も持つ。自然のままの岩礁に、当たりそして砕ける波。渦と泡の文様。その美しさと永遠の規則性に魅せられ、波の唄に耳を傾けるうちに、タケナカはあることに着目し始めた。海岸から海へと送られ続けている酸素の存在とその意味である。すぐさまそれを伊藤氏に相談し、伊藤氏は関係する論文を見つけ、タケナカに報告した。

 人類の生活が作ってしまうヘドロを分解するのに必要なもの、海の生態系を保つために必要なもの、その一つが酸素であるというのが科学的な見地からも証明された。

 そして生まれたのがテトラポット型のオブジェだ。消波するだけではなく、打ち寄せる波が渦と泡を作る、つまり海へ酸素を送る装置となるオブジェなのである。

 さらにタケナカは『有志団体メビウスベルト』を結成し、島の有志と共にバイオ洗剤を用いた生活排水の質の改善に取り組み、宮古島を離れたのちも、さらなる実験と研究のために各大学や研究機関、出資者との結び付きを得られるよう、自身がメディアとなり、周知に取り組んでいる。

 タケナカの夢は世界中の人口海岸が健康的に地球の機能を助ける存在になることだ。

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